ミタリア王国とドS執事

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暖かい暖炉。 昔に建てられたとおぼしき城。 無茶苦茶デかい…アタシの…部屋…。 「これから貴女様には立派なレディになって頂く為、優秀な私が手取り足取り教えて差し上げます」 サラリと告げた彼の名は『ヨハン』と言う。 元々王子の執事らしいが、今から陽良子に遣えると恐怖の宣言をしたばかりだ。 「…チェンジで!」 「私はニホンのデリバリーヘルスの娼婦ではありません。今後、その様な卑猥な言葉を使ったら…地獄を見ますよ?」 と、言って微笑む。 ヨハンの後ろに鎌を持った死神が見えた気がして陽良子はガタガタと震えた。 「宜しい。では、陽良子様…殿下に会って頂きます」 「…ヨハンさん、訊きたい事が…」 「ヨハンで結構です。訊きたい事とは何ですか?」 呼び捨てでも良いと言っているにしても、ヨハンは常に上から目線だ。 怖いよーっ! 「あの…殿下ってどんな人何ですか?」 「とても寛大な方でいらっしゃいます。お年は陽良子様に一つ上です」 へぇー…じゃあ17歳って訳だ。 話し合うかな…優しいんだろうなぁ…。 陽良子は頭の中で勝手に『王子様』を作り上げていた。 ヘラヘラと笑っていたら、ヨハンが邪魔をする。 「ですが…陽良子様が愚か過ぎて、会わせるにも申し訳なくなりました。なので多少教育が済み、貴女様が雛から鶏に変わる事が出来たらにします」 沈黙。 パチンと暖炉の中で音がする。 「…馬鹿にするくらいなら、何もアタシじゃなくて…初めから鶏の人を…」 「貴女様でなければ殿下が悲しまれます。それに初めから鶏と云うよりも、陽良子様以外の方は初めから白鳥ですよ?」 沈黙。 窓の外では、雪が変わらず降り続いている。 …逃げたいなぁ…。 「脱走しても無理ですよ?城から街まで車で2時間は掛かりますから。死にたいのならどうぞ、止めません」 気持ち悪っ! コイツ…エスパーか!? 陽良子は諦めてボンヤリ暖炉を眺める事にした。 あー…もう既に挫けたい。 ギブ、ギブアップ。 「要は早く学ぶ事ですよ。陽良子様?」 「誠にスイマメーン」 「地獄に堕ちろ、この鶏頭」
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