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ゴォォォ…
「…う…ん…」
耳障りな低い音が身体に響く。
目を開けて周りを見ると、そこにはあの外人が居た。
頭がボー…っとしていて騒ぐ事も出来ない。
陽良子は暫く青年を観察してみる事にした。
金色の髪は肩より少し短く、青い瞳はとても深い色を湛えている。
透き通る白い肌の色と端整な顔立ち。
随分見上げたから、背は高い筈。
ゴォォォ…
重い音が考える力を鈍くする。
お父さん…お母さん…アタシが誘拐された事…知らないで、今頃探し回ってるかな…。
お姉ちゃんを呼んで…お兄ちゃんを呼んで…大騒ぎしてるのかな…。
お祖母ちゃん…アタシが居なくなって…ビックリして死んじゃったら…どうしよぅ…。
ボロボロと涙が溢れた。
アタシ…どうなっちゃうの…。
不安と恐怖を抱えて、陽良子は青年に気付かれない様に泣いた。
意識が朦朧として、目を閉じた。
目を開けたら、夢だった…なんて事を思い、眠りについた。
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