オスシ~oh~ダイスケデース

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「起きて下さい」 「陽良子様、着きました。起きて下さい」 「犯すぞ」 ガバッ! 陽良子は慌てて目を覚まして、起き上がった。 目の前にはニコニコと微笑む青年が居る。 「今…『犯すぞ』って聞こえた様な…」 「いえ、私はその様な下品な言葉は使いません。気のせいにも程があります」 ニッコリ笑う。 だが目は笑っていない。 陽良子を立たせ、飛行機から降りる。 そう…『降りた』のだ。 空港も無い、真っ白な世界に伸びた階段を降りた。 「空港が……無い!」 「既に城の敷地内です。空港なら別にあります」 振り返って眺めた飛行機は少し小さい。 だが、良く良く考えてみたら、陽良子はずっと横になっていた事を思い出した。 普通なら『座っている』筈なのに…。 「自家用!?」 「…今頃気付かれましたか?貴女の頭は嘸、風通しが良いのでしょうね」 逐一馬鹿にする言い方に陽良子は腹が立った。 周りは雪景色。 陽良子は青年の背中に蹴りをお見舞いするが、アッサリ交わされて雪の中へ見事にダイブした。 「何をなさっていらっしゃるのです?」 馬鹿にした様に見下ろす青年。 笑っている。 それはそれは楽しそうに…。 「さぁ、参りましょう。あちらの車に乗って下さい」 青年が指差した先に、リムジンが停まっている。 城の敷地…内? お車で…移動? 「見事な呆け顔ですね。貴女は今、世界一の馬鹿面をしてらっしゃいますよ?」 微笑んでいる。 「貴方は黙っていた方が良いんじゃないんですか?黙ってた方がスッゴくカッコイイし、アタシは好きですけど」 陽良子、負けじと反論。 「陽良子様に誉められても嬉しくありませんね。寧ろ気味が悪い…」 お互い笑い合う…とても短い時間。 直ぐに飛び付いた陽良子をサッと交わし、汚い物を掴む様に、陽良子を車に押し込んだ。 「このエセ外人め!」 「失礼ですね。本物のミタリア人ですが何か?」 「むーかーつーくー!」 真っ白な雪景色。 陽良子は楽しむ間も無く、城へと連行?された。
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