輝ける場所

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実力を見せつける所か、いきなり試される側となった俺は、余裕のないまま6曲を歌い終えた。 先にステージから下りる啓介は、テーブルで泣いている舞と彩に何か話し掛けていた。 直ぐに俺も行くと、笑いながら啓介は話し始める。 「リハ無しで良く間違わずに歌ったなー。今までで一番感情こもっていたぞ!」 褒められているのか、けなされているのかわからない俺は、舞をなだめていた。 「見ろよ...これがお前の実力だ。あいつ等ビビッて帰ったみたいだな」 啓介が言う「実力」の意味を履き違えていた俺は、三浦淳士の姿を探した。 こんな形で終わった突然のライブは、結果的には自己満足で歌うのではなく、実力を試され、少し自信と余裕を無くしかけていた俺にとっては、リセットする良い場となった。
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