『D・T』

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「昨日、お前どこ行ったの?」 放課後、一緒に帰る悠が聞いてきた。僕は昨日、どうやって家に帰ったのだろう。気付いたら、自分のベッドで朝を迎えていた。そして何事もなかったように学校に登校し、授業をいつも通り受けた。そして今、学校から帰っている。 「なあ、なあって!」 「あぁ。」 「何したの?今日元気ないぞ。」  僕はまだボーっとしている。夢から覚めていない感じだ。 「なんかさぁ、俺やったっけは。」 「まじで?昨日?」 「うん・・・」  僕は覚えている範囲で悠に全てを話した。 「そっか・・・」  悠は最後まで真剣に聞いてくれた。 「あのさ、俺の話も聞いてくれないか?」 「なに?」  僕はうわの空で答えた。 「俺も同じ経験したんだよね・・・」  悠も一ヶ月前、常雄のプレイを見に行って、初体験をしたらしかった。 「そっか・・・」  そういう事は良くある事なのかもしれない。初体験が彼女じゃない名前も知らない女だったから、悠は今まで話さなかったのだろう。 「はぁ。」  僕は溜め息を吐いた。今の僕には秋の空が良く似合う。 「んでさ・・・」 「なに?」  悠がまた話し始めた。 「なんかさ、俺がやった女も龍の刺青があったんだよね・・・」 「は?どこに?」 「右の太股・・・」 「え?」 「てか誘われ方も全く同じなんだよね・・・龍見たくない?って・・・」  僕はその瞬間、昨日から続いていた夢から覚めた。 「・・・つうことは・・・だよね?」 「・・・そうだね・・・」 「・・・・・・うそーん!お前がやった女なの???」 「おそらく。」 「いやそうだって!」  僕は悠と同じ相手とやってしまった。それも僕も悠も初体験だ。あの女は何者だったのだろう。もしかしたら筆下ろし先生なのかもしれない。最悪。どこまでこいつとは戦友、いや兄弟なのだろう。 「ま、過ぎてしまった事はしょうがない!兄弟!AV返しに行くぞ。」  悠はなぜかポジティブだった。しかし僕の心にはすきま秋風が通り抜けていた。
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