『D・T』

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 数分後、僕は女と公園に居た。ここまでどう来たのかはあまり覚えていない。ベンチに腰を掛けて、僕はタバコを吸っている。まだ酔いの中に居る感じだ。僕がタバコを吸い終え、地面にタバコを擦りつけると、女が僕の右手を掴んだ。そして自分の太股に持っていく。 「龍見たくない?見たいでしょ?」  僕は小刻みに震えていた。すると女が僕の股間に手をやった。僕は一瞬ビクンとした。いつの間にか勃起している。いつからなのかは良く分からない。そして女が唇を合わせてきた。僕は完全に酔いが醒めていた。その後、僕らは木の陰に行った。このぐらいから僕の記憶は曖昧になっている。僕はこの後の数分間、本能だけで動いた。気持ち良かったかなど、覚えてもいない。ただ覚えているのは、その女の右太股には綺麗な龍の刺繍がしてあった。そして柔らかい部分を生まれて初めて触った感触だけが、この後もずっと残っていた。
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