第六話貴方の百鬼夜行

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「あははは、しゃべちゃったね。でも、もう大丈夫。だって、君は人間じゃなくなったんだから。しゃべたって誰も君を人間だ何て言わないなのさ。あははははは。」 少年は、笑って貴方の前に浮かんできます。貴方は彼に嵌められてしまったのです。しゃべってもしゃべらなくても、貴方はきっと結果的にはこうなってしまっていたのです。 いったいこの少年は何者なのでしょうか。 「あはははは、振り返るといいよ。君の後ろについてきてる奴等をさ、見てみなよ。」 振り向いてはいけません。貴方は見てはいけないものです。これ以上、少年の言うことに耳を傾けてはいけません。でなければ、本当に貴方は帰れなくなってしまいます。そう、このまま百鬼夜行の一部として、どこかへ連れて行かれてしまうでしょう。 「どうしたの?見てみなよ。」 もし、見たいとおっしゃるなら、私が見ている光景をあなたにお伝えしましょう。 貴方の後ろには、無数に白い手が貴方を掴もうと待ち構えているのです。決して振り向いてはいけません。振り向いた瞬間に、貴方はその白い手に引きずり込まれることでしょう。 いますぐ、お面を外してください。大丈夫です。貴方の後ろの手を伸ばしている人たちは、まだお面を被っていませんし、妖怪にもなっていませんから。ですから、貴方もまだ大丈夫なはずです。お面を外すと思って顔に手をかけてください。 「何をしているの?なんで見ないの?なんで……」 先程まで楽しそうな口調から、少年の声はだんだんと低くなり、変化していきます。それに伴い、少年の体にも変化が見られます。額から小さな角が出、だんだんと大きさを増します。体も、先程までの弱弱しい子供の体ではなく、だんだんと膨れ始めています。 「なんで、それを外そうとするのだっ!?」 怒気を孕んだ大声が貴方の鼓膜を震わせます。それと同時に、目の前の少年は貴方よりもずっと大きな、赤鬼へと変化したのです。貴方の目の前には、ぎょろりとした片方の目と、鋭く尖り口からはみ出している牙が見えているでしょう。彼の全身を見ることはかなり難しいと思います。 それよりも、早くその手をつけているお面を顔からお外しなさい。恐怖に負けている場合ではありません。
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