第六話貴方の百鬼夜行

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「夜行さん。さっさとそれを蹴落としてしまいな。」 少年が呟くと、首切れは急に前足を上げいななくと、背をのけぞらせました。見事にのけぞった馬の背中に乗っている貴方は、もちろん掴まるところもなく、そのまま後ろへと重心が傾きます。 貴方は思わず手を伸ばしたのでしょう。けれど、貴方の手は空を切っってしまった。首がない馬には掴まる首がないからです。ですから、貴方はゆっくりと馬から振り落とされ、暗闇の中へと体が沈んでいきます。 おそらく浮遊感と、目の前が暗闇に包まれるなんとも言えない感覚にとらえられたことでしょう。 貴方はだんだんと落ちていきます。まるで底がない奈落の底に落ちていくように。どんどん落ちていきます。
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