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私は、草と木々に囲まれた場所に立っていた。綺麗にセッティングされている木々達。ここはどこだろ
う?まったく見知らぬ場所だ。あれだ、お城の庭みたい。
渡りを見回して、はっとする。私の隣には、いつの間にか女性が立っていた。私と同じくらいの身長に
、長い髪をたらしている。雰囲気はおっとりとした感じ。
見たことがないはずなのに、何故か私は彼女を知っている。そういう感覚に捕われた。
「ねぇ、ここ。どこだかわかる?」
不思議に思いながらも、私は彼女に話しかけていた。
彼女はそれににっこりと笑んだかと思うと、ある一点を指差した。そこには、茂みの中にぽっかりと開
いた穴。先は暗くてよく見えないけど、どこかに繋がってるみたい。
私が迷っていると、彼女はその穴の中に入っていってしまう。
しゃがんで入らなければいけない程小さな穴。できれば、はいずってそんな穴を通りたいとは思わない
。
けれど、ほかに方法も見当たらないし、こんなところで一人になるのは嫌だった。だから私も仕方なく
その穴を彼女を追って通り抜けた。
「よいっしょ!」
すぐに出口だった。
それにも驚いたけれど、もっと驚いたことがあった。
大きな椅子、背もたれが大きなハート型のその椅子に、ふんわりとした赤いドレスを纏う女性が座って
いた。黒い滑らかな髪に妖艶な笑み。黒い髪は団子状、いや塔のように巻かれている。
雰囲気はまさしく女王様。
彼女と視線が合う。
「いらっしゃい。不思議な国へようこそ。私はこの国の主、クイーンよ。」
彼女は妖艶の笑みのままそう言った。私は穴から半分出たまま固まって動けない。なぜだかわからない
。だけど、嫌な感じがするのは確か。
「ふふふ、大丈夫。貴方にはこれから、ゲームをしてもらうだけだから。」
私の様子に気分を害することなく笑っている。
ゲーム?何の?私には正直わけがわからない。けれど、この感じる悪寒は何?
「洋子。さ、一緒にゲームをしましょう。それじゃないと、ここから抜け出すことができないの。」
先ほどの彼女が私の手をとって、抜け出るのに協力してくれた。どうやら彼女は、いろいろと知ってい
るよう。
もちろん私のことも。不思議なことに、私はそれを変だとは思わなかった。それどころか、それが当た
り前であると、そう感じていた。
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