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ドンっ!そういう衝撃を受けて、落下が止まった。
そこはどこか洞窟のような、遺跡のような四角い部屋。周りには毛布なのか藁なのか、何かが敷き詰められている。
はっとした。何かがいる。何かは分からないけれど、大きいもの。
出口が、その大きな横たわっているそれの向こうにある。
見つからないように、見つからないように行かなければ。
そう思って、私は音を立てないようにそーっと壁伝いを行く。
ガツ
足が何かに当たった。心臓が飛び出る。
それが、横たわっている何かの尻尾なのだと気付いたときには、もう遅かった。それが赤い目をギラリと開けたのだ。
心臓が一瞬止まったかと思うと、早い鼓動を耳に伝えてくる。
どうにかしなきゃっ!
そう思ったとき、私は、すぐ傍の藁の中に入り込んだ。
奥へ、奥へ……。
壁に突き当たった。壁にぴったりと背中を押し付けて口を両手で塞いだ。藁の隙間から、横たわっていたそれが赤い目を光らせ辺りを探っているのが見える。
音は出してはいけない。そしたらきっと見つかってしまう。もう一度あれが目を閉じて、眠るのを待つんだ。
緊迫した雰囲気。心臓が聞こえてしまわないか不安なほど大きく鳴っている。
それが、一度こちらを赤い目で見た。私は、びくりと身を震わせる。けれど、その目はすぐに過ぎていった。
それは、状態を伏し、赤い目をゆっくりと閉じた。
「ふぅー。」
ほっとした。ほっとして胸を撫で下ろし、目を閉じて息を吐いた。
「っ!?」
目を開けたとき、赤いそれが私の足元に来ていた。私を見ている。目が合った。
その瞬間、さおれが大きな口を開けた。無数の鋭い牙。
食べられるっ!!!
「うわっ!!!」
私は目を覚ました。なぜか心臓がどっくどっくと波打っている。呼吸も荒い。
何か恐い夢でも見たのだろうか?……何も思い出せない……。
とりあえずは呼吸を整えて、私は寝床から抜け出した。
今日も何もない日常が過ぎる。夜中、また同じ夢に迷い込むまでは……。
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