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「それでね、私達もオバケになってみよう!って!」
「えぇ、好きな幽霊、妖怪、お化けでコースがわかれているので。皆さんはどんな幽霊、妖怪、お化け
がよろしいですか?」
莉奈ちゃんの言葉に、補足を付け加えるワカさん。ワカさんは説明を加えると、全員を見渡し問いかけ
た。それに翔也と縁、莉奈ちゃんが答える。
「俺、ケンタウロスがいいな!カッコイイしさぁ。」
「私、人魚がいいわ!綺麗な私にぴったり。」
「あたしは、髪の毛が伸びる人形!皆のびっくりする顔が見れるよ、きっと!」
どうやら、三人ともやる気満々。目を輝かせて、それぞれなりたいものを所望する。僕はそういうの聞
きたくないタイプだから全然わからないし、特になりたいものもない。
僕は黙ってその場に立ち尽くしていた。ワカさんが視線を僕で止める。
「貴方はどうしますか?」
「僕……?」
「忍は何がいいの?狼男とかどう?」
僕はワカさんの質問戸惑い、押し黙ってしまう。内心悩んでいると、縁が何かを勧めてきてくれた。そ
れでも僕は、何かになること事態に気が乗らなかった。僕は首を横に振る。
「うーん、僕はいいや。特になりたいものもないし。」
「……決めていただかないと、ゴールへは連れて行けない規則に成っておりますゆえ。何か決めていた
だけないでしょうか?」
ワカさんが僕と同じ様に額に皺を寄せた。困っている。仕方なく僕は顔を落として考えた。皆がいろい
ろな名前を出してあれはどうだ、これはどうだと勧めてくれる。
しばらくして、僕は顔を上げた。
「ごめん。やっぱり選べないや。」
僕の答えに、三人は口々に文句を言う。そりゃあ、せっかく勧めてくれたのにそんな答えじゃ文句も言
いたくなるよね。はは。でも、本当に気が乗らないんだ。なんだかとっても気が乗らない。
「わかりました。それでは、翔也さんはあの赤い入り口に。縁さんは青い入り口に。莉奈さんは緑色の
入り口にどうぞお進み下さい。」
ワカさんは僕の答えを聞くと、仕方なさげに他の三人を案内する。奥でワカさんが言ったそれぞれの色
が光りだした。どうやら光の先に入り口があるらしい。
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