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『ご親切にどうもありがとうございました。ではこれで失礼致します』
僕は姿が見えない人に冷ややかな目線を送りながら(送れないけど)言った。
扉の向こうに踏み出そうとすると、後ろから声がした。
???
「あ、ちょっと待ってよ!」
『なんで?』
僕はしぶしぶ振り返った。
が、相変わらず姿は見えない。
???
「こっちこっち。上上」
同じ言葉を繰り返すな!!
僕はそう言いたい衝動に駆られたが我慢した。
上・・・テーブルの上辺りかな?とか思ってみると、黒い服に赤いマフラーをした男がいた。
???
「アリス、久しぶりっ」
男は馴れ馴れしくそう言うと、テーブルから軽く飛び降りてこちらに歩いてきた。
『誰だよ』
逆に僕は離れる。
っていつの間にか扉閉まっちゃってるし。
すぐに扉に背中が当たったよ。
???
「何それ新しいギャグ?」
いや、本気です。
男はキョトンとした顔をしながら僕との距離を詰めてくる。
って猫耳!!こいつチェシャ猫か!!
赤い耳に襟足の長い黒い髪。
『猫耳生えた人なんて知りません』
ついでに言うと尻尾も生えた人と知り合いではありませんから。
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