プロローグ

12/48
前へ
/458ページ
次へ
しばらくブランコに座りぼーっとしていると、新しく出来た友達の顔が浮かんできた。 会いたい、と俺は切にそう思った。 せっかく知り合えた新しい友達と、この暖かい時間を共有したい。 それに、一人で遊ぶなんてつまらない。 幼き俺の中で、その気持ちはどんどん膨らんでいった。 「あのこといっしょに、あそびたいなぁ……」 俺は思わず一人ごちる。 だがそんな期待とは裏腹に、公園には友達どころか猫一匹すら現れなかった。 淡々と、自分一人での時間が過ぎていく。 どうして誰も来ないんだ、と考えてみるが、理由など幾らでもあるだろう。 遊び場は公園だけではないのだ。 俺はがっかりと肩を落としながら、溜め息を吐いた。 それから暫く待ち続けてみるも、やはり誰一人来ないまま時間が過ぎた。 これ以上待っていても、誰も来そうにないのは明らかだ。 空は赤く色付き、風も冷たくなり始める。 ふと時計を見てみると、四時を回っていた。……俺は一時間以上もこうして待ってたのか。
/458ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1783人が本棚に入れています
本棚に追加