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苛々して学校中を走り回ってでも探し出したい衝動に駆られる。
でも俺はその気持ちをグッと堪え、教室にとどまる。
どうせ由宇のことだからまたカバンを取りに戻ってくるはずだから。
でも俺の姿を見ると逃げ出すに決まってる。
とりあえず入り口からは死角になる廊下側の席に移動することにした。
徐々に教室からは人が居なくなり、なぜか俺に付き合うように居る佐々木が心配そうに俺を見ている。
「おい、大丈夫かよ……」
どうやら今日1日、由宇に逃げ回られ、ずっと苛々している俺のことが心配みたいで帰れないようだ。
「大丈夫……もう、落ち着いてるから。先、帰っててくれないか?」
俺の落ち着いた口調に少し驚いた様子だったが、すぐに「分かった」と納得したような顔で頷くとそのまま帰っていった。
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