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「とーや、早くほうきに! ノアは魔法を使う気です!」
ルージュは透哉の手を取ると、飛び立った。
「え、ちょっ……」
ちょっと待てっと、言うより早く、透哉の体は、ルージュのほうきに乗せられ、空を飛んでいた。
「す、すげ~」
感嘆の声をあげる透哉。
みるみるうちに透哉の家が離れていく。
風を切る音を耳で聞き、髪は逆立ち、ものすごいスピードでほうきが飛んでいるのが透哉には分かった。
ジェットコースターよりも遥かに早いルージュのほうきは、ノアの追っ手を逃れるように突き進んだ。
「逃げるなら俺がほうきに乗ってない方が早かったんじゃないか?」
引き剥がされないようルージュの腰に腕をしっかり回した透哉が聞くと、
「とーやが傍にいないと、私はダメなんです!」
とルージュが吐き出すように言った。
「それってどういう……?」
透哉の問いかけには答えず、ルージュはほうきを飛ばし、ノアから逃れる事に集中した。
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