真夜中の逃亡

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  「とりあえず、撒いたかな」  ルージュと透哉は、高層ビルの屋上に着いた。  ノアから逃れる為、無我夢中で飛んできたルージュは、肩で息をしている。  後ろにノアの姿は見えなかった。 「こんなに飛んだのは、久しぶりです」  ルージュは額の汗を拭い、透哉の隣に腰掛けた。  ビルの上は吹きっさらしで冷たい風が吹きつける。 「風が強くて寒いです」  とルージュが腕をさすると、 「俺もかなり寒い」  と透哉も同意した。 「……とーや」 「ん?」 「これは雪山で遭難して、さびれた山小屋で服を脱いで2人で暖め合おう的な展開ですか?」 「……こんな所で脱いだら凍え死ぬだけだよ。……ってどこからそんな情報を仕入れて来るんだよ」  と透哉は呆れたように言った。
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