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あと少しで頂上が出来上がろうとしている東京スカイツリーの建設現場が見える超高層マンション群の深夜、無数の悪霊にでも取りつかれて追われているかように中学生の純也はキッチンとリビングを走り回っている。
「やめなさーい!純也ー!、何しているのー!やめなさーい!」
純也の母親が叫びながら純也に抱きつく。
純也は何かに追われているかのように、家中を逃げ回っていた。キッチンとリビングはめちゃくちゃになっている。
その騒ぎを聞き付け、ドタドタと父親が寝室から来た。
「どうしたー!」
平穏な家庭に激震が走る。
「純也がおかしいのー!お父さん助けてー!」
中学一年生の純也を母親はしっかりと抱き捕らえている。
純也は恐怖におののき、両手を激しくバタバタしている。無遊病患者のように目は固く閉ざされ、顔は拷問でも受けているような形相だ。
父親は狂乱している純也を床に押さえ込む。
「純也!純也!」
父親は目を開けない純也の頬にビンタをする。
純也は少し目を開けた。
「お父さん、怖いよ、怖いよ」と父親に抱きつく。
「どうしたー!」
「僕のアバターが…、僕のアバターが…」
父親は意味が分からない。
「アバターとは何だー!」
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