プロローグ

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「わかった、わかった。もう寝ろ! お母さん、毛布持ってきてくれ。俺は明日仕事休みだし、純也が落ち着くまで、ここでビールを飲んでいる」 「はーい」 平穏な家庭に戻った。 純也は朝まで震えが止まらず、毛布を頭から被り恐怖に耐えていた。 その二日後の深夜、純也は、9階の自宅マンションのベランダから花壇に飛び降り自殺をした。 死体の側にはバラバラに壊れた携帯が散乱していた。 横には、冷たいアスファルトにへたり込んでいる放心状態の母がずっと氷のように冷たくなった純也の手を握っている。 駆けつけた救急隊員が「自殺か……、悲惨だ……南無……」と手を合わせる。
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