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プロローグ
歯車が回る。
古くなって錆びた所からギシギシと鳴る様は、
時の刻まれ方によく似ている。
昔、僕がまだ幼い頃。煖炉の側で揺れる椅子に座って編み物をしているばぁ様から聞いた御話しだ。
何故だかわからないがその言葉だけが、今でも昨日のように鮮明に思い出せる。
「ばぁ様…?」
まるで、この世界だけ時間が止ったかのように感じた。
揺れる椅子と煖炉の火が燃える音…それに合わせるように鳴り響く、掛け時計の振り子が奏でるメロディー。
単調ではあるが、何処か落ち着く雰囲気が醸し出されていた。
しかし、再び時は流れる
「!」
それは稀に皮肉で
「お逃げ!」
繋がりなどいとも容易く断ち切ってしまう。
「ばぁさ…っ」
響く轟音。
視界は煙に包まれた。
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