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あれから…
この街にいてから二年。
家を出たのはもう何年前になるのだろう…
思い出せない。
俺は17になった。
出逢った頃は、まだ幼かったこのはも少し成長した。
14歳になったらしい。
それでも、俺と比べたら小さいことには変わらず、相変わらずちょこちょこと動き回っているよう
に見える。
まんま、小動物だ。
「散花!散花起きて!!ちぃーくーん!」
「……何…?このは…」
部屋の外から俺を呼ぶ声が聞こえる。
その声で俺は目を覚ました。
俺の家の中での活動範囲は、殆どがこの『コンピュータ』のある部屋。
寝室もあるのだけど、時々しか使わない。
コンピュータをいじっては足りないものを外へ探しに行く。
そんな毎日。
気がつけば夜が明け、そして眠気を覚える。
今日もそうして眠りについたところだったのに…
眠い。
激しく眠い。
いつもなら、このはもそれを知っているからこうして朝方に俺を起こすことはしない。
このはは、俺と違って夜は早く眠りにつき、太陽が昇るのと同時に活動を開始する。
俺が寝ている間に街へ出て、使えそうだと思った物を持ってきてくれる。
だけど、それはこのはの主観であり、実際にはやっぱりガラクタばかり。
バネの飛び出た車のオモチャなど、何をどこにどうやって使ったらいいのか俺にはさっぱりだ。
眠い目を擦りつつ、今度は何を見つけてきたのだろうと部屋を出る。
そこにいたのは、すっごくいい笑顔のこのはと…
「ちーくん!見て!ナマモノ見つけてきた!」
「……ナマ…モノ…」
「ナマモノって言うな!!」
ピンクのうさぎのぬいぐるみを抱いた女の子と、このはにツッコミを入れる男の人がいた。
どちらも、俺と同じくらい。
これが、俺ら四人の出会い。
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