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「なんつうかさ~灯油みたいな匂いがしねぇ?油絵か?とりあえず、くせぇよ」
祐介が窓際で外の空気をすいながら文句をたれる
「うわ!智!見つかった!!」
「えっ!?」
祐介が突然叫んで窓の外に飛び出した
智明が驚いて振り向くと、体育館のほうから竹刀を持った角刈りの先生が何か怒鳴りながら走ってきている
「ずりぃぞ、祐介ぇぇ!」
智明も祐介の後を追うように窓から飛び出して美術室を逃げ出した
「待たんかぁぁぁぁっ!!」
後ろからは顔を真っ赤にした、いかにも体育教師といった風の先生が怒鳴っている
まぁこんなのは俺のいつもの学校生活の一部にすぎない
「リンゴ灰色…」
逃げながら智明の頭の中にはダークな油絵が浮かんでいた
すっごい上手なのに…
どうしてあんな色にするんだろう…
上杉菜摘…
もっと知りたい…
もっと聞きたい…
もっと…
もっと話せたらいいのに…
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