5月

14/26
前へ
/197ページ
次へ
「上杉さん、そんなオドオドしなくってもアタシは取って食ったりしないって!」 三花はケラケラと面白そうに笑う 菜摘はポカンと口をあけたまま三花を見つめていた 「あ、その顔!いつも下ばかり向かないで、今みたいに顔あげてればいいのに」 三花は優しく笑って菜摘に言った 思わず菜摘はカァっと顔が赤くなった 「あ、こんな遠くだったら卓球見えないでしょ?もっと近くに行こう!」 「え、あ、いや…あの…」 あの二人には会いたくないんですけどぉ~! 三花は強引に菜摘の手を引いて、人ごみをかき分けて卓球台のそばまでやってきた 「二年生同士なんだね!あ!あの人って生徒会長じゃん!運動もできるんだ!すっごいね!」 三花は剣士朗を指差して大声で言った 三花の声は高くよく通るため、気持ち良いくらい体育館に響いた そんな大声出したら気付かれるって… 「…菜摘さん!」 案の定、剣士朗が菜摘に気付いた うわぁ…言わんこっちゃない… 菜摘は慌ててうつ向いた
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

149人が本棚に入れています
本棚に追加