プロローグ

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 どこか知らない所を落ちていっている。  頭から落ちているのに、不思議と苦しくは無 かった。    暗闇を落ちているかと思っていたらそうでは ないようで、テレビに映ったような映像がたく さん流れるように通り過ぎていく。  その映像は、ある人は月に帰って行ったり、 ある人は長い髪を塔の上から垂らしたり、知っ ている様で知らない人たちの物語。  段々明るみに近付き、画面は白い空間へと変 わり、頭から落ちていた俺の体は自然と回転し て足から光の地面に着地した。  着地した先で、俺の体は何かに撃ち抜かれた ように脈打ち、もう一人の俺が体から出て行っ た。  魂なのだろうか?半透明の俺は床の先にある 大きな本の扉を開く。  すると、本から目が開けてられないほどの光 が溢れ、両腕で顔を覆った。  光が弱まり薄目を開けるとそこは見に覚えの 無い森が広がっていた。 赤の薔薇の木が門と してポツンとたたずんでいる不思議な森だ。  そこには幼馴染のアリスが立っていて、門の 扉を開けて中に入って行った。声を掛け追いか けるが門の先には・・・ 「!!!?」  なんだ。夢か。  俺は勢い良く起き上がったようで、布団はベ ッドの下に落ちていた。寝癖の酷い頭を掻きな がら布団を引き上げて、服やなんやかんやで散 らかった部屋を見回した。  いつもと同じ部屋、扉の先のリビングでは母 さんがおばあちゃんに持っていくご飯の準備で もしてるんだろう。  でもなんだろう。この妙な胸騒ぎは…
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