31871人が本棚に入れています
本棚に追加
/516ページ
1人で生きて1人で死んでいきたいと願った事も一度や二度ではない。
他人なんて恐ろしいものと関われる奴等の気が知れない。
いっそ早々に人生という舞台から退場するのも悪くないとも何度となく思った。
何しろ彼は『自分自身こそが』一番嫌いなのだから。
ふと目の前を残業帰りだろうOLが横切る。
──ドクンッ─
心臓が大きく跳ねる。周囲に人気はない。
─コワシタイ─
手足をもぎ取り、心臓をえぐり、その断末魔を……
──アレハチガウ──
突然現れたように、突然衝動が収まる。
同時にOLは角を曲がって姿を消した。
「ハァッ…ハァ───」
思わず胸を押さえて地面に膝をつく。
彼は自分が嫌いだ。
すぐに壊したくなる。
人や物を見ると、時々こうして御し難いほどの破壊衝動に襲われるのだ。
そして決まって何かが、誰かが「チガウ」と言って衝動が収まる。
普通じゃない自分。
破壊を望む自分。
彼は何よりも自分が嫌いだった。
最初のコメントを投稿しよう!