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もう何年もの間繰り返したことだというのに慣れないものは慣れないし、嫌いなものは嫌いだ。
物心ついた頃には既に彼はこうだった。もしかしたらもっと昔からだったのかもしれない。
ただ、ずっと感じているのだった。
何かを見つけ出して破壊しなければならない。
そんな最低な使命感のようなものを──。
トボトボと川沿いの小道を歩く。
酷く疲れる。これもいつものことだし、当たり前だ。人を殺しそうになって平気でいられる筈がない。
もう帰ろう。そう思った時だった。
「こんばんわ」
背後から声をかけられた。驚いて振り返ろうとして…
「あ」
「あ…」
自分の足と足が絡まった。
そしてバランスを崩して転んだ。
それだけなら良かったのだが倒れた先には……
「あ──?」
泳ぐには遅く、寒中水泳には早い水温。
目の前を小さなエビがスイスイ泳いでいる。
やはりうまそうだと呑気にも思った。
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