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「貴女にチカラを授けましょう。」
声は確かにそう言った。
「チカラ?」
チカラと言っても一体この声は、どうやって授けてくれるつもりだろう?と、勇気は首を傾げる。
「既にチカラは貴女の傍に…
後は貴女の決意と共に叫びなさい『幻装』…と。」
勇気は、声に導かれる様に自分の想いを叫んだ。
「ボクは…今までセリスちゃんに助けられて来た、でもボク自身は何も出来なかった…だから、今までの弱いボクとは決別したい…ううん、違う……卒業するんだ!」
強い決意表明をする勇気。
「今は修練の暇は無い、だから…チカラを貸して。」
借りる相手はその声か、それとも別の何かか?
現実の勇気を朱い光が囲む。
勇気は高らかに叫んでいた。
「幻装!」
朱い光は鳥の姿になり、勇気を包み込んで燃え盛る。
盛る炎に包まれて、今まで着ていてボロボロになった鳳桜学園高等部第14学区暁舎の制服から、アンダースーツに換わる。
次に炎は勇気の両脚を、両腕を、腰を、胴体を、両肩を…そして頭を覆う。
それは意味なき炎の塊から、意味成す装甲へと変換される。
今こそ勇気は、朱を基調とした美しい炎の装甲をその身に鎧うのだった。
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