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「おにーさん。やさしくしてください」
微細に顔をしかめる木ノ実ちゃん。
「やさしくしてるつもりだけどな」
「無理ですよ、こんなの」
「いいから黙ってしなさい」
「けっ、国語の勉強なんて面食らえですぅ」
「面食らえじゃなくて糞喰らえだろ、この言い回しだと」
かねてからの木ノ実ちゃんのお願いで家庭教師をすることになった俺。
木ノ実ちゃんはどうやら文系の教科が苦手ならしく、国語と英語を教えることになっている。
「そもそも活用形ってなんですか?なんでそんなものを活用しないといけないんですかねぇ?」
「活用形に関しては覚えるしかないね。覚えるまでは難しいけど覚えてからが楽になる」
「まじかる?」
「意味は全く合ってないからね?!」
うーん、思った以上に苦手みたいだな。
「それよりも木ノ実ちゃん」
「なんですか?」
木ノ実ちゃんは鉛筆を動かす手を止めて俺をみる。
「数学とかは大丈夫なの?」
「それは大丈夫ですよ」
「じゃあ得意なんだ」
「どうなんでしょう?得意というより楽しいです。だってパズルみたいで」
数学をパズル扱いですか。
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