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「本当に意味が分からん」
「モテモテじゃんか」
カラカラと人の気も知らずに笑う葵。
くそぅ、この引きこもりめ。
「なんだって俺に付き纏うんだろうか?」
「夢見な少女かよっぽどの物好きかだね、多分」
「ま、いいか。どーせすぐ飽きるだろうし」
「どうだかね」
不吉な言葉を放ち、俺に反論をさせずに真剣な目つきになる。
葵仕事モード
しかもこの目つきは大体厄介事。
「フウタ、まずこれを見て」
手渡された資料を見てみるとこの街で最近起きた暴力事件の詳細が記されていた。
人が死んだ、とかはないけど全員病院送りになっている。一番の軽傷で全治一ヶ月。
そしてもう一つ気づいたことは事件をおうごとに怪我を負ってる人の怪我の度合いが強くなっていること。
徐々に酷くなっている。
「どうしたんだよ、この資料」
「ちょっと警察のデータベースをハッキングしたのさ」
「ぶっ!」
おもわず吹いてしまった。
「それを見て何か感じないかい?」
「喧嘩ねぇ……喧嘩ならどうしようも無いんじゃないのか?」
「ただの喧嘩ならね」
「? どういうことだよ?」
「喧嘩の状況からみると複数対一人なんだよ。しかも怪我をしているのは複数の方。それにその一人、おそらくその事件全部に関わってる」
一人が喧嘩相手全てを病院送りにしている。
葵はつまらなそうにそう吐き捨てる。
「回数を重ねる事に怪我の度合いが酷くなっているのには気づいているかい?」
「ああ」
「このままいけば死人が出るよ」
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