ちょっぴり切ない

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「ふむ……それにしたってフウタ少年も罪な男だねぇ」 「は?」 「いや、気にしないでくれ。私の独り言だよ」 「分かりましたよ」 ミミさんは俺と木ノ実ちゃんを交互に見て、ふむ、と感慨深げに頷く。 「私はそろそろ失礼するよ。以前にも言ったが裏口から入ってもらって構わないよ。知り合いなのだから」 「いえ、そういうわけには……」 「入場料金の三百円も馬鹿にならないからね。気軽に遊びにきてくれよ。その時に話し相手にでもなってくれ」 「それくらいならいつでもいいですよ」 「ふむ、やはり君はいい男だな。それでは失礼するよ」 そういうとミミさんは踵をかえして歩いていった。 「デンジャラスなおねーさんですね」 いままで黙っていた木ノ実ちゃんが珍しいものを見たような目でミミさんが歩いていった方向を見つめていた。 そりゃそうだろうな……だってあの人の服装は特殊すぎるんだもんな。 「それじゃあそろそろ帰ろうか?」 「そうですね……私には魔王が待ってますから」 「魔王じゃなくて宿題だな」 「魔王の元に行く前にザコ敵倒してレベルアップするです」 「いや、意味無いだろ……」
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