第1章

7/19
前へ
/240ページ
次へ
       2  藤間 圭(とうま けい)は悩んでいた。椅子に浅く腰掛け、天井を仰ぎながら考える。  問題はわかっている。  問題がないのだ。  つまり、何もすることがない。それは藤間にとっては耐え難いことであった。  幼い頃から頭で考えるよりも体を動かす方が得意だった藤間は、知恵を必死に絞って退屈を解消する方法を模索していた。  しかし、数分も経たないうちに立ち上がり、着替えて自室を出た。  玄関の鍵を閉め道路へ出る。軽く準備運動をした後、走り始めた。  藤間はたまにジョギングをする。  以前テスト前に走った時、頭がすっきりしたのがきっかけだった。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加