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赤井英明は欠伸を噛み殺した。
電車は満員なので座れない。赤井はドアの付近に寄りかかりながら、バッグからゲーム機を取り出した。
赤井はゲームが特別好きな訳ではない。しかし、通学中はどうしても時間を持て余してしまう。
勉強でもやれば優秀な学生ということになるのだろうが、赤井はそこまで勉強熱心ではなかった。
ゲームをしながら今日の大学でのゼミを思い出す。
就職。
教授がふいに言った言葉が頭の中で繰り返し再生される。
大学生活も残すは1年と数ヶ月。3年である赤井には到底無視できる言葉ではなかった。
自分には何が向いているのか。様々なセミナーに参加してはいるが、目指すべき道は見えてこない。
このままニートにでもなるか。
そんな考えが頭をよぎる。
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