第1章

5/19
前へ
/240ページ
次へ
 そう、よくあること。  しかし――痛さが違った。  人とぶつかった時の鈍い痛みではない。  それよりもずっと鋭い。  痛い。  思わず痛めた箇所へ手を伸ばす。    温かい。  手を戻して確認する。  赤い。  液体だ。  これは……。  血?  そう、血だ。  絵の具より、筆箱に入っている赤ペンよりも、ずっとずっと赤い。  綺麗だな。  そう思った。  その思考はすぐに消えた。  足に力が入らない。  鈍い衝撃。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

98人が本棚に入れています
本棚に追加