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昼休みになると、息が詰まりそうな教室の雰囲気もほぐれ、すっかりいつもと同じ状態に戻り、束の間の休息を味わっているように見えた。
お弁当忘れてきたから学食行ってくる、と言ってハルヒは教室を出て行ったので、久々に谷口・国木田と3人で机を囲った。
「明日こそはゼッテー声かける!男谷口、もう迷わないぜ!」
谷口のくだらない熱弁を俺と国木田が聞き流していると、
「あ。ねえキョン、あれ」
国木田が後ろの入り口のほうを見ていた。
俺も振り返って見てみると、2人の人影があり、1人はこちらに手を大きく振っている。
そのかわいらしい2人の上級生の姿は、教室の奥から見ても一目で分かった。
「あれって…朝比奈さんと鶴屋さんか」
と谷口。
まあ、朝比奈さんは言わずと知れた有名人だしな。ハルヒ絡みの件もあり、全校生徒で知らないヤツはいない。
鶴屋さんのほうも、その容姿端麗・才色兼備ぶりから、朝比奈さんほどではないがかなり名が知れている。
当然、谷口が知らないワケがない。
「ま、あの様子からして呼んでるのはキョンだろうな」
「いいなー、キョンは。あんなかわいい上級生と知り合いなんだもんね」
谷口、お前を呼ぶ理由など微塵もありゃしないだろう。
そして国木田。これは俺の日頃からの苦労を考慮すれば、与えられて然るべき、言わば報酬なんだ。
…などと言っている場合ではない。
あの2人を待たせたら確実にバチがあたる。
俺は急いで食いかけの弁当を片づけ、2人の元に向かった。
「やあ、キョンくんっ!野球ん時以来かなっ?久しぶりっ!」
残暑を吹き飛ばす元気を放出しているのは鶴屋さんだ。
「その節はお世話になりました」
「いやいやっ!私はなんにもしてないっさー。それより!みくるから話があるみたいだよっ」
「あ、あのぅ…」
鶴屋さんの隣で控えめにかわいらしくモジモジしているのは、無翼の天使にして俺の癒し、ハルヒ曰く「SOS団専属メイド兼マスコット」。朝比奈さんだ。
「ちょっと、頼みたいことがあって…」
今すぐ仰せになってください、と言いたいところだが、
「とりあえず、場所を変えましょう。ここだといつハルヒが戻ってくるか分からない」
ハルヒにこんなところを見られたら厄介なことになるのは自明であるし、それにクラスメイト達からの視線がキツい。
どこでもよかったのだが、屋上に続く階段の踊り場で話してもらうことにした。
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