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「………なたが………き……」
マンションに背を向け、長門から借りた傘を差して数歩歩いたところで、後ろから声がした。
「…ん?」
振り返って見てみても、誰もいなかった。
「…空耳か?」
特に不思議に思わず、歩き出した…が。
「…誰もいないだと?…長門は?」
自動ドアの透明ガラス越しに屋内に居た長門を見逃したとは考えづらい。
宇宙人的ワープでもしたのか…?
ならば、俺とハルヒが朝倉の手がかりを探しにこのマンションに来たとき、長門は徒歩で帰ってきていたのはなんだ?
俺はマンションまで戻り、もう一度確認したが、この時点では更に幾多の可能性が考えられ、無意味だということに確認してから気づいた。
??
疑念はつきないが、まあ明日学校にいけば普通に居るだろう。
長門、アイツに限って消失するなんてまず有り得ないだろうし、そんな事態を考えたくもない。
そうだ。明日には学校に居て、また部室で静かに本を読んでるはずだ。
さっきのは見間違いか思い違いか何かだろう。
ある種言い聞かせるように脳内で反復し、俺は帰路についた。
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