第二章

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翌朝。 「ふあぁ…」 いつもの坂を登りながら、粗野なアクビを一つ。 …結局昨日は、長門と相々傘なるものをして帰ったワケか。 まあ、別にそれ自体悪い気はしなかった。 口喧しいどこぞの団長とは違い、一緒にいても苦にならないしな。 ただ一つ、気に掛かることがあった。 「ハルヒが聞き及んでいなければいいのだが…」 この件がハルヒの耳に届けば、厄介なことになるのは自明だ。 まあ、ハルヒに関わろうとする奴なんて、宇宙人と未来人と超能力者以外皆無であろうから、 俺と長門が一緒に帰ってる所を見たとしても、何の利も無しにハルヒに話そうとする奴はいないだろう。 しかし、俺達を見た誰かが噂しているのをハルヒが偶然聞き入れる、なんてことは十分にあり得る。 おまけに、アイツのカンと洞察力は驚くほど鋭い。 うまく誤魔化せる言い訳を考えておいたほうがいいかもしれん、と思っていると、横から声がした。 「よう…」 谷口だ。 「どうした、珍しくトーンの低い挨拶だな」 「…フラれた…」 谷口が面白いセリフを言っている。 「ん?なんだって?」 「フラれたんだよ…俺、昨日言ってただろ?光陽院の子がどうって…」 そういや、そんなこと言ってた気がする。 「ああ」 「その子にな…付き合ってくださいって言ったら、2秒くらい間空けて『ごめんなさい』ってよ…」 2秒か。っていうか、 「お前…まさか、出会い頭ですぐ言ったのか?」 「ああ…」 「その子と話したことは?」 「ない…」 それじゃ普通に考えて成功率ほぼ皆無だろう。何故成功すると踏んだのだ、コイツは。 谷口の「鬱になりそうなストーカー話」を延々聞かされながら、学校についた。
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