一緒に生きて

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今日は寒い寒い1月。 全国大会も終わり、すっかり卒業シーズン。 暑かったあの夏がもう遠い昔のようだ。 「ねぇ…体繋げよっか」 此処は部室。 3年は引退したが、名残惜しさから毎日みんな部活に顔を出す。 今日もそんな日々だった。 すっかりあたりもくらくなって、部室には大石と菊丸だけだった。 突拍子のないことを躊躇いがちに言う菊丸。 その目は何かに耐えてるようで大石は冗談なんかで返せなかった。 「どうしたんだ?」 大石は菊丸の頭をぽんぽんと軽くあやしながら聞いた。 本当はわかっているのだ、大石だって。 冬があければ春になる。 春になれば、これまでの日常がまるで二人に遠くなる。 「俺さ…俺」 一度溜めてから菊丸は、大石の顔を見た。 「大石が好き…」 途端に二人の周りの空気が変化した。
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