夏の午後

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水しぶきがあがる。 振り下ろした腕が力強く水を掻き分けると 水流の膜が躰に纏わりついてくる。 顔をあげた。 太陽の位置が高い。 まるい水の粒が宙に漂っている。 時が止まったみたいに 光に反射してきらきらしている。 きれいだ と思った。 プールからあがると、引き締まった筋肉質の体中に水の筋が幾重にもつくられ 若い肌は水をよくはじいた。 フェンス越しで、制服を着た何人かがスカートをひらひらさせながら騒いでいる。 蝉の鳴き声の方がまだましだ とつぶやいてみた。 短髪の髪はもう半分乾いている。 あついあつい 夏の午後 西沢 武人 16歳の夏が過ぎていく
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