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三月。
春独特のポカポカとした陽気と共に、桜が見事に咲き誇る。
もうじき夕方だが、足を止めて見る人がちらほら見える程、素晴らしい咲き誇りようである。
そんな中、銀髪で右目に眼帯をした少年が誰かと待ち合わせしているのか、それなりに咲き誇っている桜の木の下で、ずっと同じ方向を向いていた。
少年はしきりに、遅い、だの、まだか、などと呟いている。
どうやら、本当に待ち合わせをしているようだ。
一時間程経っただろうか。
少年の待ち人は、いまだに現れていなかった。
更に一時間経った。
少年の待ち人は、未だ現れず。
少年は、待つのを諦めたのか、トボトボと歩き出した。
「おい、ガキ。ちょっと来な!」
不意に、少年に声がかけられた。
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