1145人が本棚に入れています
本棚に追加
「……何か?」
少年は、振り向いて声の主を探す。
案外、簡単に見つかった。
何故なら囲まれていたから。
「お金持ってないかなぁ?」
「俺たち、お金が無くて困ってるんだぁ」
「だから、一万ルート程貸してくれないかなぁ?」
一万ルート――質素に暮らせば1ヶ月は食費に困らない額だ。
「…………………」
少年は、終始無言で辺りを見渡す。
人数は、8人。
全員、Dランク。
武装はナイフのみ。
「なに?ビビってんの?」
「その眼帯、何?ファッションのつもり?」
「気取ってんなよガキ!」
金を貸さない事に痺れを切らしたのか、少年の真後ろにいた男が少年に殴りかかる。
周りの男達は、ただ下品な笑みをこぼすだけだ。
どうやら、自分達の勝利を確信しているようだ。
「…………まぁ、アイツのたい焼き代位には、なるだろう」
少年はそう言うと、拳打を最小限の動きで避け、殴りかかってきた男の勢いを利用して、投げ飛ばした。
最初のコメントを投稿しよう!