『第零幕~プロローグ~』

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「……何か?」   少年は、振り向いて声の主を探す。 案外、簡単に見つかった。 何故なら囲まれていたから。   「お金持ってないかなぁ?」   「俺たち、お金が無くて困ってるんだぁ」   「だから、一万ルート程貸してくれないかなぁ?」   一万ルート――質素に暮らせば1ヶ月は食費に困らない額だ。   「…………………」   少年は、終始無言で辺りを見渡す。 人数は、8人。 全員、Dランク。 武装はナイフのみ。   「なに?ビビってんの?」   「その眼帯、何?ファッションのつもり?」   「気取ってんなよガキ!」   金を貸さない事に痺れを切らしたのか、少年の真後ろにいた男が少年に殴りかかる。   周りの男達は、ただ下品な笑みをこぼすだけだ。   どうやら、自分達の勝利を確信しているようだ。   「…………まぁ、アイツのたい焼き代位には、なるだろう」   少年はそう言うと、拳打を最小限の動きで避け、殴りかかってきた男の勢いを利用して、投げ飛ばした。
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