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『――この太刀筋、青い大剣、疾風の如き速さ……まさか』
二十合程打ち合ってから、少年は何かに気付いたのか、一度身を退いた。
そして、叫ぶ。
「あ、あんなところにたい焼き屋が」
少年はデタラメな方向を指差した。
それを受けてか。
黒装束の動きが止まり、キョロキョロし始める。
「ど、何処だ。たい焼き屋は何処だぁぁ」
『女独特の高い声。
そして、たい焼き好き。――ビンゴだ』
少年は、動きを止めた黒装束に急接近して覆面を取る。
「――やはりエルスか、何してるんだ?」
少年は、半ば呆れ顔で黒装束に言った。
「…………ちぇ」
エルスと呼ばれた黒装束は、バレてしまったからか、ばつの悪そうな顔を浮かべ、大剣を地面に落とした。
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