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ロンはタイシを嫌ったが、サンヨは彼を庇った。
どうやらサンヨには考えがあるようだ。
「わかりました。そこまで言うのなら、こいつはあなたが好きに使いなさい。ただし、私の目に入らないところでね」
あえてサンヨと言い争うコトも無いだろう。ロンは不愉快なソレをサンヨに任せるコトにした。ロンは身体を金色の靄に変えると、風に流れるが如く消え去る。
タイシはロンを見送り、膝をついた。命を奪われるコトは無かったが、恩人だと思っていたロンからの言われ様は、彼の心に傷をつけた。落ち込むタイシに、新たな恩人とも言えるサンヨは優しく語る。
「気にすんなヨ。あいつ、計画が上手く行ってなくて、気が立ってるだけだからヨ」
「…………………」
返事は無い。恩人に恩返しをするどころか、存在そのものを忘れられていたあげく、これでもかと言うほどに嫌われてしまったのだ。タイシの顔は、まるで血の気の失せた死体の様になっていた。
「俺は、いったい何のために……」
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