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さらには両手まで大地について、がっくりと頭を垂れ下げる。落ち込んだ気持ちが、全身を使って見事に表現されていた。
やれやれといった感じで、サンヨはそんなタイシに慰めのような言葉をかける。
「ま、せっせと働いて役に立ったら、名前くらいは覚えてくれるって。ロンの手伝いをする俺の手伝いをすればいいヨ」
「……………………」
タイシは、元々リンリンシーになれるだけの実力などもっていなかった。肉体も頭脳も普通のリンシーをやや下回り、幻気で強化されている今も、ようやく通常のリンリンシーを僅かに上回れる程度である。ロンの暇つぶしは、そんなタイシに希望を与えたのだ。しかし、その恩返しをしようとした結果がこれ。現実は上手くいかない。
だが、そんなタイシにサンヨが与えた仕事は、新たな希望となり、沈んでいたタイシの気持ちを浮かび上がらせた。その仕事は、場合によっては、ロンにとって何より重要な、本当に必要なものとなるだろう。
それほどに大きな仕事だった。
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