プロローグ

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  その、仕事とは……。   「もしもの話ヨ。ロンも俺も不死身だから、粉々にされたって死んだりはしないけどヨ……。あいつらみたいに封印とかされちゃったら、どうしようもない」   「あいつら」とは、臨獣殿の創始者である「三拳魔」と呼ばれた三人の臨獣拳士のことだ。彼らは、激獣拳と臨獣拳が袂を分かつことなった「激臨の大乱」の際、敵対する七人の激獣拳士「七拳聖」との戦いに敗れ、死後も封じられることとなった。   「そんなことがあった時こそ、お前の出番ヨ。俺とロンの二人ともが封印されたり、されそうになったりしたら、その時はお前が出て来てなんとかしろヨ」   そう、サンヨがタイシに託した仕事とは、ロンや自分にもしもがあった場合のための保険だった。死せずとも、死と変わらない状況に追い込まれたらどうしようもない。 不死身ゆえか、ロンは身を守ることに関してはあまり気を使っていなかった。永遠の命が永遠の地獄に変わる。サンヨはそれを恐れていた。ロンがそうなるような状況になれば、自分もただではすまないだろう。  
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