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1、ひらり
春の陽気な風に惑わされ不規則に儚く漂う…
美しい桜の花びらと共に。
僕の受験表は見るも無惨なことに燦然と輝く水面へと吸い込まれていった。しかし、そこに現れた彼女によって僕は救われたのだ。
受験票を拾い上げた彼女は、何のこともなかったかのように僕に受験票を放り投げ颯爽と去っていってしまった。
河といってもそんなに深くはない、なだらかな流れなのだが、あんなに躊躇いもなくざぶざぶと…
あっけらかんとした僕はお礼を言い忘れてしまったことに気付き、追いかけようとしたが自転車の彼女に徒歩の僕が追いつくわけもない。
そして数ヵ月後、偶然にも高校の入学式で彼女の姿を僕は見つけた。 彼女は気付いていないようだが…
そんな感じで、彼女に出会ってしまったせいで僕の雑用人生が始まるわけだ…
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