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2、ふらり
二限目を知らせる鐘が響き渡る。
とりあえず、自称読書家の僕は図書室へと向かった。それでなければ話が進まない。
僕の入学した高校、その名も私立東乃高等学校(ひがしのこうとうがっこう)。どうでもいいことなのだが、略して"ひがこう"と呼ばれている。そしてここ重要、テストに出ないくらいの重要さ。県一番の書架数を誇るこの図書室がある。いや、ここは図書館だと呼びたい。学校案内で始めて訪れた時、この広さには驚嘆したものだ。
膨大な資料の中、僕の意中の本がそう簡単に見つかるわけもなく、検索部屋に向かうことにしたのだが…
ケバケバしい学年主任のオバサンが言っていた言葉を思い出しながら、検索部屋へと思われる方角へ向かう。そう、思われるだ。
自分でいうのも何だが物覚えはいい方だ。しかしその時、僕は実用書を熟読していた。つまり聞いていなかったのだ。
とりあえず、あの辺だろうと思われる方向に進んでいたが、あるものに気をとらわれ僕は一旦足を止めた。書棚の隅に置いてある長椅子に…
仰向けで顔の上に雑誌を乗せ、寝ていると思われる彼女に目を捕らわれたのだ。
正しくは、彼女の首からかかっている図書委員長の名目に…
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