2人が本棚に入れています
本棚に追加
3、プレゼント
ジャリ…
時計は9時を回っていた。街灯の明かりで照らされた薄暗い公園は、シンと静まり返っている。公園の砂利は、入った人間の足音をよく響かせた。
ジャリ…ジャリ…
迷いなく進む人影は、ベンチの前に来てようやく止まった。
「…みい…」
その声で、みいはハッとした。いつの間にか眠っていたらしい。
「こここ、こうくん!?あれ!?あたし寝てた!?」
「ごめん…」
「いや、べつにいいよ、いつものことだし!…って別に皮肉言ってるわけじゃないよ?」
「ごめん」
「だからもういいって…」 そう言って、みいはずっと俯いたままの考の顔を覗きこんだ。考の顔を見た瞬間、みいはそのまま動けなくなった。
「ごめん…ごめんな、みい…」
考は泣いていた。今泣いたばかりじゃないのは、一目瞭然だった。目の腫れ方、涙の流れた跡。
「こう…く…ん…?」
最初のコメントを投稿しよう!