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4、一番の証明
「いってきまーす!」
「ちょっと、みい!」
お母さんが玄関まで駆けてきた。「またバッグ忘れてるわよ!」
「あ、ごめーん。じゃあいってきまーす」
あたしは今日、夕方4時頃家を出た。時間は十分あった。だから、途中であの指輪を見ておこうと思った。いつかきっと考くんに買ってもらう、あの指輪を。
片道三車線あると横断歩道はとても長い。ギリギリ渡れそうだったけど、あたしは待った。時間は十分にある。歩行者信号の点滅が赤信号に変わり、あたしは横断歩道の先のアクセサリーショップを遠目に眺めていた。少しして、アクセサリーショップから人が出て来た。
見間違うはずがない。それはあたしの大好きな人だった。
呼び掛けようとした時、ちょうど歩行者信号が青に変わるのを見た。あたしは走った。走ろうとした。だけど視界が何か大きなものに塞がれた。
キキキキキィイィー!!!
ドンッ
遠くの方で、名前を呼ばれた気がした。
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