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「麗ちゃんはさー、尚哉くんに告白したりしないの?」
帰り道を歩いてる時、西野が前を軽やかに歩きながら振り向いて言う。
「告白…!!?
な…!無理に決まってるだろう!
私は、そこまで高望みしてはいない。」
それに、尚哉くんには好きな人が居るんだ。好きな人が居る奴を想ったって…告白したって、無駄だろう。
「でも、前より尚哉くんのこと知ってるでしょっ?」
「ま、まぁな。
前は、尚哉くんに顔も名前も知られてなかった。
でも顔見知りになって、尚哉くんがどんな声で人と話すのか、どんな笑い方をするのか、前よりは分かった気がする。」
そういえば、コイツが居なければ顔見知りになることも無かったんだろうな。
私がそう言うと、西野は満足そうに笑った。
「相手を知るたびに、きっと想いは募っていくよ。
そのうち、どんどんどんどん欲が出てくる。もっと傍に居たいって絶対に思えてくるよ。」
西野は、『告白を我慢するな。』と遠回しに言ってくれてるんだろう。
でも、なんか…
「お前に恋愛のことを説かれると、この上なく腹が立つんだが。」
「照れなくてもいいのにー。分かってるよ。麗ちゃんが僕の言葉に感動してることくらいっ。」
「お前、本当に耳鼻科行ったらどうだ。」
耳詰まってるんじゃないか?
コイツに悪態を吐いてるのに、すぐにポジティブな言葉に変換する…。
相当なポジティブシンキングな奴だ。
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