*+。陰と陽。+*

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「一緒にいることが楽しくて、ずっとずっと一緒に居たかったな。で、僕は外国に転校しちゃって、こっちに戻ってきたけど、蓮華は全く変わってないよ。昔のままの蓮華で、嬉しかった。 …理由になってないかもしれないけど、それが好きな理由。」 西野は約束をしたことも話してくれた。 約束のことを思い出しながら話しているのか、嬉しそうにしていた。 「そうか。」 コイツって…意外と純粋…。まあ、顔とか笑顔とか、性格も純粋オーラは滲み出ていたが…、ここまで純粋な奴だったとは。 「その約束、向こうは覚えているのか?」 「分かんない。多分忘れてると思う。僕のことだって、最初は忘れてたし…。」 「仕方ないよ。」と言いながら、困ったように頬を掻いた。 そんなコイツを見て、胸が苦しくなる。そして、苛つきさえも覚えた。 「お前が思い出させればいいだろう。」 「え!?無理だよ! 何か押し付けがましいし、それに…大切な思い出だったら、普通は忘れないよ。」 コイツは笑顔が似合う。だけど、悲しそうな笑顔は似合わない。 「押し付けがましくない!!思い出して欲しいなら、自分から言わないと何も変わらないだろう! きっと…二階堂さんだって、頭の中には残ってるさ…。」 何故だかコイツのいつもの笑顔を…私の一言で潰してしまったみたいで…もう一回いつもの笑顔にしたいっ、と思ってしまう。  
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