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「ありがとう。麗ちゃんは本当に優しいね。」
アハハッて笑う西野。でも、やっぱりどこか寂しくて切なそうだ。
「…ただ思ったことを言ったまでだ。」
フイッと西野から顔を逸らした。逸らした後、チラッと西野を見ると、私を見ながらニコニコと笑っている。
何だかんだ言って、話しを逸らされた気がする…。
「か、帰るっ!」
机をバンと叩いて、立ち上がった。
「えぇ…。帰っちゃうの?つまんないなぁ。」
西野がプーッと言う効果音がつくくらい可愛らしく頬を膨らませる。
「ああ。今日は早く帰りたいと思ってたしな。じゃあな。」
椅子から立ち上がり、図書室をそのまま出て行こうとした。
「待って~!
じゃあ僕も帰る。一緒に帰ろ?」
首を傾げて笑いかけられ、断ろうと思ったのに、口が先に動いていた。
「勝手にしろ。」
「うん、ありがと!」
西野は嬉しそうに笑う。ホントにそりゃもう…。
「お前って、その笑顔で得してそうだよな。」
廊下を歩きながら、西野に言った。
「そうかなぁ?そうは思わないけど。あ!でも損することは沢山あるよ。」
思い出したのか、ポンと手のひらを叩きながら西野が言った。
「損?どんなのだ?」
「学校に行こうとして歩いてたら、知らないオバサンによく話しかけられて、いつもギリギリに学校着いちゃうんだ。」
ホントに困ったかのように、西野は深く溜め息を漏らした。
…それは、お前が可愛いからだと思うが…?
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